兼任住職 金澤 一弘
奧州志和郡郡山(岩手県紫波郡紫波町)の勝源院二世庵室泰眞大和尚を開山とし、大正10年より267年前に開設されたと伝え、逆算すると江戸前期の承応3年の創建となる。
開山大和尚は寛文元年、(1661)の遷化であることから、承応開創は史実と思われるが、この時代こそ新寺建立禁止なとの幕法が頻発され、その対策として既存の堂宇の改宗・再興・移転の名目で幕法をかわしていた時代であり、たとえ中央から遠い鹿角の里といえどもたやすく新寺を建立し得たとは考え難い。
こうしたことから、南部領郡山の勝源院で仏道も入った是心道心が鹿角に巡国し、夏井館近辺に建立されていた堂宇に住み、幕藩体制の中急速に村落形成が進んだ承応3年に至り、村里に近く湧き水の豊かな現在地に「寺野」から庵を移し、勝源院二世を開山も勧請して龍江寺となったものと思われる。
以来、世代表の遷化年を見る限り、時々、無住の時期を折り交ぜながらも綿々として法灯が守られ、明治24年の焼失後は、地元夏井の金沢家出身の八世霊山見明大和尚が枷監を再建していることからみて、この寺に寄せる地元の篤い心が感じ取られ、先代11世霊光情山大和尚代には無償で山林2町歩の造林を行い、そうした地域との深いつながりが平成元年の新築をなしたものと思われる。
〔寺宝・丈化財〕
〇本尊:江戸初期の作といわれ、寄木漆箔の造形は鎌倉期の手法を伝え京払師の作とみられる。
〇阿弥陀如来像:中国伝来と伝えられる木像。
〒018-5141 秋田県鹿角市八幡平字夏井2
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